日本の移民問題の是非を問う

移民問題をよーく考える


 今回、いつものように世界情勢の分析記事を書いていた過程で、日本の移民問題にも触れることになり、あまりにもそのことで記事が長くなってしまったので、そちらだけを別箇にして別記事にしました。

「日本は移民を受け入れなければならない」的な発言を以前の記事のコメント欄で私が書き、読者様のコメントを見て、やはりこの問題には賛否両論あるな、と思いました(そういうコメントをいただくだろうとは予想してました)。ほかの読者様たちのあいだでも、自分たちの国の問題ですから興味はあるかと思います(というか、自分に降りかかることなので、興味がないとは言っていられませんよね)。

 ちなみに、皆さんに勘違いしてもらいたくないのは、私は移民政策を心から賛成し大歓迎しているということではないのです。「妥協策としてやらざるを得ない」と言いたいのです。ことわざで言うなら「死中に活を求める」なのです。

 まずは、よく言われる「移民を受け入れた場合のデメリット」を最初にバンと書きましょうか。

① 移民によって日本人の雇用の機会が奪われる
② 移民の文化、宗教の違いから日本人との軋轢を生む
③ 移民がめちゃくちゃ子どもを産んだらいつしか日本人がマイノリティになる
④ 移民の受け入れによって、二千年の日本の歴史が大きく変わる 
等々……。

①は、「確かにそうだ」の一言。
②は、日本人は多文化を気軽に受け入れる姿勢があるし、宗教に関しては、そもそも宗教観がゼロに等しいので、そこまで軋轢にはならないと思う。
③は、「確かにそうだ」だけども、日本人がめっちゃ子どもを産めるような政策をとればいいだけのこと。もちろん、そんな単純な話じゃないことは百も承知だが、人間はそこまでバカじゃない。いくらでも考えられる(もちろんそれは、労働力を増やして経済を安定させてからの話)。借金地獄、人口減少地獄を目の当たりにしているいまの日本人に何を言ったところで子どもを積極的につくる気にはなれないだろうし、そもそもつくれる家庭状況(お財布状況)じゃない
④は、「確かにそうだ」だけども、日本という国を維持できないのであれば、違う意味で歴史が大きく変わる。

まずは日本の未来について

 どれだけ政府が子育て支援を推奨しようとも、いまさら出生数が増加することはないといえます。国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2017年)」によると、2065年には約8808万人100年後は約5060万人200年後は約1380万人3000年には2000人になるとのこと。たった2000人!? 

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画像:http://saigaijyouhou.com/blog-entry-6308.html

ここで、上記のように人口減少によるリスクを箇条書きで書きます。

① 国土が無居住化する
② 社会インフラを維持できなくなる(維持費が捻出できないから。たとえば地方の場合、人口不足によって税収が減り、行政がうまく機能しなくなる)
③ 農業従事者の減少により耕作放棄地が増える(さらなる輸入に頼らなければならないので、外国に命運を握られることになる「食料は武器になる」)
④ 国による借金返済額の伸びが社会保障費の伸びを上回る

③に関してはかなり深刻です。なぜなら、日本とは真逆の世界人口増加問題があるからです。2030年には世界人口が83億人に達する見込で、それにともない食糧需要は35%拡大すると言われています。しかしながら食糧生産は減少――。ここで違う側面から見た場合の「水」が問題となるのです。2030年、世界では年間6兆9000億立方メートルの水が必要となります。これは、現在安定供給が可能な水量を40%も上回る水準なのです。地球上の水のおよそ14億㎦の大半は海水で、淡水はわずか2.5%しかありません。しかもそのうち約70%が南極・北極の氷河や氷です。それ以外は地下水であり、河川・湖沼などの再生可能な水、人間が利用できる水は全体の0.01%にすぎないのです。経済協力開発機構(OECD)は、2030年までに世界人口の約半数が水不足に悩まされるとしています。日本もその被害を受けることは間違いないのですが、一番の問題はそこではなく、日本は輸入大国でありそのほとんどを海外に依存する、という事実なのです。食料を生産するのには水が必要だ、が大前提としてあり、日本が依存するある国が水不足になれば、その国は食料を生産できず、輸出できないという状況になりかねないのです。ともなれば、日本はおしまいなのです。農業に従事する後継者がいない以上、外国人を受け入れるというのは、たしかに危険をはらむし一時しのぎなのですが、必要と言えるのです。

 内閣府は過去におこなった移民シミュレーション(「目指すべき日本の未来の姿について」)では、2015年から毎年20万人ずつ受け入れ、2030年以降の合計出生率が「2.07」に回復すれば、2060年の人口は1億989万人になるとしています。もちろんこれに関して危惧されています。なぜなら、毎年20万人の移民なら、2060年には外国人が900万人になるからです。で、上記したように子どもも勘案すると、未来には日本人の人口を超えるだろうと。でもこの考えはおかしいです。日本人だって生殖機能はついているんですよ? 日本人だって子どもを産みます。そこは無視されています。はじめにも言いましたが、日本人がめっちゃ子どもを産めるような政策をとればいいのです。
 
 先進国では、労働力の高齢化や出生率の低下には移民の受け入れが有効な手立てになるという見方があり、OECD加盟国の多くが現在の水準で移民を受け入れていけば、2030年に向けて労働力の増加が期待できるという調査がありますが、それを維持できない国の一つとして日本が挙げられています。

 総人口に占める子ども(0~14歳)の比率が30%以下、高齢者(65歳以上)が15%以下のとき、経済が飛躍的に成長する「機会の窓」が開くと言われていますが、日本はその窓が閉じている状態です(ちなみに2030年の日本の中心年齢は52歳)。

アメリカは移民大国という事実から学ぶこと

 エリス島(自由の女神があるリバティ島の北隣に位置し、1892年から1945年まで移民用の入国審査所が置かれた)で、移民のための入国審査が始まったのは1892年。移民規制が始まる1920年代末までに1900万人がアメリカに移り住みました。WASP「White(白人) Anglo-Saxon(アングロサクソン)Protestant(プロテスタント)」として出発したアメリカという国に、ユダヤ系ロシア人「ユダヤ人の迫害(ポグロム)の過酷さゆえに母国から脱出した)、東南欧の人びとが1千万を超す規模で押し寄せたのです。当初は移民に対して排他的でした。たとえば、カトリックのイタリア系が多数押し寄せたフロリダ州では、州知事が「法王はバチカンをフロリダに移そうとしている」と非難しましたし、ロシア革命のせいで社会主義思想がアメリカにもちこまれると警戒されました。どうなりましたか? どちらもそうなっていません。

 現在、アメリカで問題視されていることは、ヒスパニック系の移民が増えすぎて、「2050年にはアメリカは非白人の国になってしまう」ということです。でも私は思うのです、「じゃあ、1892年から2050年までの158年間は、諸問題はいろいろとあるだろうが、国家を揺るがすような大問題はないのね」と。「158年間は移民によって、とりあえずは助けられるだろうって話なのね」と。世界一の国として手腕を振るってきたアメリカ。その出発点は移民にありました。彼らは偏見、英語習得を克服して、アメリカの活力源となったのです。

 移民一世だけではなく移民二世、三世による活躍。アメリカ経済の中枢を担っているIT企業のほとんどが移民による経営。世論調査団体「ピュー・リサーチ・センター」によると、アメリカのIT企業TOP25の創業者の6割は、外国からの移民もしくは2世ということです。アップル創業者のスティーブ・ジョブズ(シリア系移民2世)に始まり、グーグルのセルゲイ・ブリン(ロシア系移民1世)フェイスブックのエドゥアルド・サベリン(ブラジル系移民1世)。アマゾンのジェフ・ベソス(キューバ系移民2世)。他多数。では、彼らは母国が優位になるように政治的陰謀を張り巡らせ、アメリカを乗っ取ったのか? いやいや、そんなことにはなっていない(しかし、金持ちとしてアメリカだけではなく、世界を乗っ取ってはいる)。いまやアメリカの4000万人の移民は、総人口の13%に相当しています。ちなみにソフトバンクの孫正義は韓国系の移民。

 アメリカの移民政策がうまかったのは、移民受け入れの基本的は枠組みをしっかりしたからです。 国内の労働者不足を外国人労働者で補うことは多くの国が行っていますが、アメリカは永住者として扱う点で諸外国と大きく異なります。1965年の改正移民法では、移民により離散した家族の呼寄せ枠、特定の職能を持つ人を採用する雇用枠を二大優先枠としました(現在もアメリカ移民法の根幹をなしている)。
 1990年の改正移民法では、「Hビザ(一時的に職務を遂行するためアメリカに滞在する外国人のための短期就労ビザ)」を再編成し、「Oビザ(卓越能力者:芸術、科学、スポーツ、ビジネス)」「Pビザ(スポーツ選手、芸能人)」、「Qビザ(国際文化交流訪問者)」などに対象職種を細分化しました。そして、「H-1Bビザ(専門家:特殊技能職)」を新設したのです。

「いやいや、アメリカと日本を同一視するのはおかしい」という意見があるかもしれないですが、すべては未来のこと。やってみないことにはわからない。唯一分かっていることといえば、このままだと日本がもたないということだけ。

 世界にはアメリカのように移民で成功した例もありますが、失敗した国のほうが多いのが実情です。ですが、問いたいのです。「じゃあ、移民で日本を救うという可能性を排除して、ほかにどういった政策があるのか?」と。日本が消えてなくなるかもしれないのに、有効な手立てをデメリットばかりを気にして排除していたら、いつのまにか日本と一緒に沈没してしまいます。大事なことは、「現実をしっかり見て、どう対応策を練るか」なのではないでしょうか。

 日本は多民族国家を経験していません。そのために日本独特の文化を温存できたともいえます。それじゃあ、移民を受け入れなければ温存できるのか? てなことです。できないでしょうよ。だって、3000年には2000人になるんですよ!

 移民を受け入れたところでリスクがないとはいえません。というか、リスクだらけでしょう。でも、日本が破滅するリスクよりはマシです。だからこそ移民受け入れはやむを得ないとして、どんな政策をとるかが重要だと言えます。

 シンガポールは日本よりも出生率が低いのですが、人口は増加しています。移民です。シンガポールの人口の約40%は外国籍なのです。

 おとなり韓国は、将来の人口減少を予想して、移民受け入れへの舵を切ることを宣言しました。

 日本をなくしたくない、日本人をなくしたくないのであれば、日本人に子どもをめっちゃ産ませることです。ですが、先ほども言ったように、借金地獄、人口減少地獄では子どもは産めません。だからこそ外国人の労働力を借りて経済を安定化させることが大前提としてあるのです。もちろんそうならないかもしれません。リスクの可能性が本当にリスクになって降りかかってきて、「後悔先に立たず」になるかもしれません。でも、何もしないで日本と沈没するよりはまだマシです。

 移民を受け入れてもデメリット、移民を受け入れなくてもデメリット、じゃあ、どちらのデメリットをとりますか? という話なのです。どちらでしょう? 簡単です。つぎの内容でわかります。

移民を受け入れたらデメリットだが、メリットの部分もある。
移民を受け入れなかったらデメリットしかない。

だったらメリットに賭けるしかない。

 海で溺れている自分がいて、目の前に浮き輪を投げ入れてくれた外人がいる。どうやら船上パーティをしていたようで、酒池肉林のようだ。「助けてやるよ」と言って浮き輪につながった紐を持っているその外人は、腰に銃を携帯している。「このまま船上に引き上げられたら何をされるかわからない」と思ったが、このまま溺れ死ぬよりはマシだ。それだったら……と助けてもらった。そしたら意外、めっちゃやさしい人たちだった。銃はおもちゃで、すべては仮装パーティの一環だった。だめもとで助けてもらってよかった……となれば幸いだ、ということです。

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