憎しみの連鎖

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zoom RSS 人間は神ではない以上、必ず情報に踊らされる@

<<   作成日時 : 2018/03/01 23:10   >>

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「フェイク(偽)・ニュースだって構わない、要は情報が欲しいんだ」が利用される

「何もしなくていいよ。ただ黙ってベッドで横になっているだけでいいんだ……」

1950年代、大学生向けのそんなバイトがアメリカにはありました。募集をかけたのは大学の心理学研究室。――期間は問いませんでした。本人が希望すれば何日でも続けられます。3度の食事もちゃんとついていました。これほど楽なバイトなどないでしょう。ただベッドで横になっていればいいのですから。

ただし、ちょっとした条件がありました。部屋は何もない無機質な空間。目にはアイマスク、手足にはカバーをしました。さらに、部屋には外部の音が一切入らないようにし、匂いもない。そうやって、感覚を奪われたままの状態でいなければなりません。で、どのくらいの期間もったか? その前に、精神や身体にどんな異常をきたしたか? 

4時間後から執拗な寝返りをうつようになる。さらには独り言、口笛。さらに時間が経つにつれ、幻聴や妄想に悩まされる(この際、単純な計算問題を与えられたが解けなかった)。たいてはその時点でギブアップしてしまい、もっとも耐えた者で48時間でした。つまりは2日間が限界だったのです。

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画像:http://northwestfloatcenter.com/short-history-evolution-float-tanks/

心理学で「感覚剥奪」と呼ばれるこの実験が導いた答えは、「人間は感覚のない世界では生きられない。感覚で何か情報を得なければ生きられない」ということを示したのです。人間は情報なしでは生きていけないのです。

だからこそ人間は情報の信頼性を求めながらも、信頼性のない情報も受け入れてしまう。ゴシップ紙がまさにそうです。心を躍らすような情報がそこにあれさえすればいいのです。

世界最大のSNSを運営するフェイスブックは、「ニュース・フィード」という閲覧画面に表示されるニュース量を2割減らし、かつユーザーが信頼に足ると考えるソースからの情報を優先的に表示することで、情報の信頼性を高めようとしています。なぜなら、フェイク・ニュースが蔓延してしまっているからです。

フェイスブックの信頼を貶めた犯人は、同社が14年に買収した対話アプリ「ワッツアップ」。自然災害の偽警報ならまだしも、「あいつは汚職している」「あそこは児童人身売買の業者だ」というような、冗談では済まされないことも取り上げ。終いには、「誘拐犯が近所にいる」というフェイク・ニュースのせいで、知り得た人びとが複数の男性を殺害してしまいました。

これらデマ情報の拡散には、ある一定のパターンがあることが発見されました――グループチャット経由です。チャットという媒体を通じて時間を共有することで、親近感や信頼感といったものが生まれ、デマが「真実だ」と認識されてしまいます。相手は決してマインド・コントロールしようとは思っていないのでしょうが、いつのまにか相手とともにフェイク・ニュースに踊らされてしまっているのです。

いまや、米国のIT業界はグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの大手4社による寡占状態であり、それぞれが膨大な個人データを得ています[これらの企業の頭文字をとって「GAFA(ガーファ)」と呼ばれている]。そして、デジタル広告市場ではフェイスブックとグーグルが突出しており、前者に関しては、世界で20億人のユーザーを抱え、米国人の3分の2がSNS経由でニュースを見るという状態です。だからこそ、フェイク・ニュースが世間で騒がれすぎることは痛手であり、デジタル広告の開示を強化する規制に賛成する政治家を懐柔するために、ロビー活動を活発化したのでしょう(ロビー活動費が増加している)。

人びとは、目の前にあるニュースを「嘘なのでは?」と心のずーっと、ずーっと奥底で思いつつも、無意識に蓋をしてしまって気にしなくなってしまいます。先述した心理実験のように、人びとは情報さえあればいいのです(すべての人だと言う気はない)。いち早く心の安寧を得たいもんだから、精査せず真実だと断定してしまうのです。

有名な話で、よく心理学の対象にされる事件があります。「神戸連続児童殺傷事件」。いわゆる『酒鬼薔薇事件』です。1997年(平成9年)に神戸で起きた、当時14歳の中学生による連続殺傷事件。世間は驚きました。なぜなら、これまで語られてきた犯人像とはまったく違う人物だったからです。この事件で得た教訓は「誰もが情報に振り回される」ということ

当初、中学校付近にいた黒いビニール袋を持った男が怪しい、としてマスコミは報じ始めました(3件の目撃情報があった)。年齢は30〜40代。身長は170センチ。スポーツ刈りのがっちりした体格。また、別の情報として黒いブルーバードが噂にもなりました。ある中古自動車屋に、「ブルーバードを売りたい」という電話があったとことで、一気に「ブルーバードの男が犯人」説が浮上したのです。そこから犯人像はさらに広がり、「学校に恨みを持つOB関係者」「劇画やアニメの影響を受けた無口な人間」、「インテリ」、「複数犯」など、勝手な想像犯が世間を賑わしました。で、けっきょく逮捕されたのは14歳の中学生……人びとの目撃情報ほど頼りにならないものはないのです。

人間は情報を勝手気ままに判断し、そこに感情を乗せる。そのくり返し。「自分の発言は本当に妥当だっただろうか?」などと振り返る人は稀でしょう。

メディアは「羊の皮をかぶったオオカミ」

かつて「イラク日本人人質事件(複数の人質事件の総称)」と呼ばれ、2004年4月に3名が誘拐された事件がありました。解放の条件として自衛隊の撤退などを求められました(後に無事に解放された)。

この事件で特徴的だったのは、日本人による日本人(人質)バッシングです。人質らは「イラクの三馬鹿」と呼ばれました。メディアは自己責任論を振りかざし、先陣を切ってバッシング。国民もそれに同調――。確かに彼らの行動は軽率と呼べるかもしれません。とはいえ日本国民。しかも犯罪者じゃない。むしろ逆です。イラクで死の淵を彷徨っている人びとを救おうとした者がいた。かたや、イラクの悲惨な現状を世界に伝えようとした者がいた。そんな日本人たち。

事件当時、自民党の柏村武昭は、人質の中に、自衛隊のイラク派遣に公然と反対している者がいることで、「そんな者のために血税を使うことは不快だ」というような発言をしました。政府と外務省は、普段なら情報を遮断することに全力を注ぐはずなのに、このときばかりは大いにマスコミを動かし、テレビ画面を通して執拗に人質家族の泣き叫ぶ映像を流しました。なぜか? と考えてみましょう。こればっかりは私の想像にすぎませんが、「国民に反感を産ませたかった」からではないでしょうか。つまり、「勝手にイラクへ行ったくせして、自衛隊撤退とか要求してんじゃねーよ」という反感。その反感は後に、自衛隊の撤退→現状維持、に世論が統一されるというもの。

本来、メディアというのは「反権力」であるべきですが、批判の矛先がテロリストではなく帰還した人質に変わりました。さらに都合が良いことに、政府や外務省の責任論が取り沙汰されることはなくなったのです。これを「真」だとすれば、あきらかに視点のすり替えを行ったのです。

もちろん、この事態に海外からバッシングの嵐。米国務長官コリン・パウエルは当時、誰もリスクを引き受けなければ、私たちは前進することはできないことを指摘し、「日本人は誇りに思うべきだ」と言いました。少なくとも人質にされた3人は、誰も動かなければ何も変わらないことを、人一倍理解していたと思います。

池上彰さんは著書『これが「世界のルールだ」!』の中で、「戦場取材が危険だからといって誰もその場所に行かなければ、その戦争は忘れられた戦争になる。報道されないことは、存在しないことなのだ」と言っています(管理人注:だからといって、「戦地にいくべきだ」という話ではない)。

こういう卑劣な手法を「スピンコントロール(政治的情報操作)」といい、それをおこなう人間を「スピンドクター」といいます。政府は自己防衛手段として、自分たちに不利になるような情報は出さず、自分たちに有利にはたらく情報だけを公表しようとするのです。

日本には、ベンジャミン・フルフォード氏の言葉を借りるなら、「政・官・業・ヤクザ」の鉄の四角形があり(彼は後にアメリカを含めて鉄の五角形にしている。また、外国なら「ヤクザ」が「マフィア」に入れ替わるのでしょう)、それら各種組織の圧力が「知っているのに書けない(言えない)」を生み出す構造になるのです。

十人十色、百人百様、千差万別という言葉があるように、人間はそれぞれ違った考えを持っていますが、なぜか「陰鬱になるような悲惨なもの」には目を向けないことだけは共通しています(もちろん、すべての人とは言わない)。戦争映画で主人公の勇敢な行動を賛美する一方、その主人公に殺された人間のことには考えが及ばない。その人間にも友人や家族、恋人がいる。したくもない戦争に駆り出されているかもしれない、という視点を持つことはない。戦争は賛美してはいけない。あくまで妥協の産物だ。この世に絶対はないが、私は戦争を「絶対悪」と叫びたい。

以前も一度言ったことがあるのですが、「アンビバレンス」が大事なのです。これは、ある対象に対して、相反する感情を同時に持ったり、相反する態度を同時に示すことです。尊敬する一方、軽蔑もする、とか。愛憎もそうです。私が言いたいのは、自分と自分とは反対の自分を二人もつ。そして二人の思想を戦わせ自分の意見とする、ということ。危険な断崖絶壁を上っている人を「勇敢だ」と見るだけではなく、「無謀だ」と見ることも大事なのです。で、それを許さないように仕向けるのがメディアというもの。

次回に続く……。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
新記事ありがとうございますm(_ _)m
日本のマスゴミなんかもぅすっかり大本営になってますよね。政権ベッタリなら安泰だからです。
また栄誉賞…むろん政治利用です。
裁量制も誰かが取り下げた、ヒーロー扱いみたいに話のすり替えやってるみたいだけど、そんなのにすっかり騙されているなら救いようがありません。
世論がギャアギャア騒がないと野党も力がないんですよ、みんな我が身にふりかかるんだからもっと騒がないと(゚-゚)
安全神話に想定外、風評被害、といった言葉が出てましたが、もぅ1つ追加で、自己責任…
危ない国へ行ってテロリストにやられるのは自己責任…なんなんですが、この国とこの国民は。
LUNA
2018/03/02 18:46
胸ときめく情報…欲しいですよね。それが嘘かもと思いつつも…。よく情報過多な社会とあるけど、そういう事にすら慣れきってしまい更なる刺激を求めてしまう。
自己責任。本当ひどい言葉ですよね。
イジメも、いつの間にかイジメられる側に問題がある、みたいにすり替えられちゃったりしますよね。陰気だとかおとなしいとか、色々な理由はあるけど見た目じゃわからない言葉の暴力もある、それは一生トラウマになったりもする。
イジメで命を絶つ、これ本当もう悲しくてたまらない。どうにかならないんだろうか…。最近じゃ裸にされた、とのイジメのニュースがありますよね。関係者みんな裸にしてさらしもんにするしか。
どの時代もイジメはあるんだけど、現代は心が荒みきってしまい…これからもずっとなんだろうな。
だいぶ前に海外旅行して捕まり、首をテロリストに切られた方も、あの頃はほとんどの人が自分が悪い、そんなとこに行くからと言ってました。切られる動画も出回ってました、私は見る気もなかったけど見た人は…どう思ってるんだろ。
日揮でしたか、あれもありましたね。ヤラセじゃないかとか混乱した話がネットに出回ってました。

名前ど忘れしましたが、刑事さん。よくTVでコメンテーターしてる高齢の男性の話では、人の目撃情報とはかなりいい加減でモンタージュや似顔絵、または車に服装とかも、実物とは違ったりすると。
人間の記憶はかやり曖昧だと。サカキバラはあんな子供が…でしたよね。今までのイメージだと大人が犯人だというのがあり、まさか子供とは。
assassins
2018/03/02 19:31
物事を見る時、相反する2人の自分。
またできるなら多方面、多角的に見る力があると良いですよね。
とは言いながらとっさになると、それができなかったりします((((;゚Д゚))))))) 冷静にならねば。
assassins
2018/03/02 19:35
神は存在すると思うか?
私はいないと思ってます。ですが、信仰を否定はしません。
人間の歴史はかなり改ざんされていると思います、遠い過去からの歴史が改ざんされていると。
LUNA
2018/03/06 06:41
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180302-00000000-jct-ent

本田圭佑「ユダヤ人」「ロスチャイルド家」に言及 「資本主義の真実」に関心示す
assassins
2018/03/06 12:40
すごくためになる記事です。
自分は心理学を専攻していませんが、それでも重要だと思い、プライベートでもいくらか本を読んでは勉強しています。ですが、心理学の分野は多岐に渡り、あまりにも膨大な情報(著作)があるので、正直、本を買うのに迷ってしまいます(ある特定の分野ではなく幅広く知りたいので)。
ガンジーさん的に、これは知っておいたほうがいい(読んでおいたほうがいい)というのがあれば、教えていただきたいです。
カート
2018/03/06 21:09
著作はあまり気にしなくてもいいと思いますよ、人物で選べば。
心理学には行動心理学、認知心理学、発達心理学、差異心理学などいろいろとあります。
私のブログは時事問題を扱っているので(たぶん、カートさんもそこに興味を持って訪れてくれたと思うので)、社会心理学を集中して勉強してみたらどうでしょうか。
クルト・レヴィン、ソロモン・アッシュ、スタンレー・ミルグラムは重要だと思います。
あと、認知心理学の分野にエリザベス・ロフタスという女性がいますが、心理学を学ぶ上で、彼女の研究に一番興味を持ちました。これは、のちに記事にしたいと思います。
ガンジーの精神(管理人)
2018/03/08 08:05
心理学、難しそうですね。でもためになると思います。私も時々、心理学のを検索してたりします。
おそらく行動心理学にあたります。

好きなジャンルは考古学と天文学、宇宙関係です(笑)考古学も超がつく方のです。
読書ではなくYouTubeとネット検索のみです。
考古学も宇宙もアカデミズムからハミ出すと、とんでも扱いにされてしまいますが、とんでも論の方がわかりやすくスジが通るといった感じです。
勉強ではなく趣味です。

関係ない話ですが…
小3〜4年の頃、バスに乗り、座席がなく通路にみんなで立ってました。ふとそこで、私が飛んだら自分はバスの後方に飛ばされるんじゃないかと思い、軽くジャンプしましたが飛ばされませんでした。
まわりの友達はそんな私ん見て、おかしな奴だと一時期、キチ害だと非難してきましたよ(´Д` )
バスは動いてるが自分は動いてないし、地球の重力があるから…と思い、ジャンプしたんです。あの頃は物理について説明できるような大人も周りにいませんから仕方ないんですが。なんであんな事を思いついたのか。あのせいで一時期、友達らに白い目で見られてしまいましたよ(笑)
assassins
2018/03/08 19:06

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