憎しみの連鎖

アクセスカウンタ

zoom RSS イスラム国が「敵であり仲間でもある」理由

<<   作成日時 : 2016/07/02 17:24   >>

トラックバック 0 / コメント 5

はじめに

 今回、記事を書くにあたって大枠でまとめてみたところ、けっこう長くなりそうです。2回に分けて書きますので、どうぞ最後までめんどくさがらずにお付き合いいただければと思います。まずは一つの事件から始め、演繹的に話を展開していくつもりです。表に出ない裏の情報というものは、裏工作を働いた当人や側近、関係者からのリーク以外ありえないと思いがちですが(実際そうですが)、数々の“表”の情報を精査し、分析することで驚くべき答えに辿り着くこともあります。その答えは、リークしたものさえ知らない世界かもしれません。前者は、例えば現場に赴くジャーナリストであり、後者は机上にて書物を精査・分析する作家さんと言えるでしょう。大抵の人間は第三者であり、よっぽどの人脈がない限りは真実を知ることはできません。真実というのは人間にとって大変魅力的です。心理学がそれを証明しています。私は、後者である広瀬隆さんの『赤い楯』という書物によって、情報を精査・分析することの重要性を勉強させられました。だからと言って「現場に赴くのは意味がない」とは言っていません。彼らこそが真実への第一歩です。彼らの情報なくして精査・分析できる記事は誕生しませんからね。イコールその記事を精査・分析する作家さんも誕生しないことになります。現場のジャーナリストが持ってくる情報は世界情報の中の小さな点であります。「点も積もれば山となる」でしょうが、その点が真実とは限りません。偽情報を掴まされることだってあります。ただし、血眼になって駆け巡って得た濃密な情報は大変貴重であることに変わりはありません。その濃密な情報という点と点を繫ぎ合わせて線にし、その線を層にすることで隙間無く情報を見渡すことができれば、世界の真実に辿り着けるはずです。「何が世界の真実だ、狂ったことを言っているんじゃない!」……そう思われますか?もしそう判断なさるのであれば、情報を“層”で見ることが出来るまで徹底的に調べてくださいね。そこからディベートをスタートさせたほうが真実への近道です。

一つの事件とは

 一つの事件とは6月28日、トルコ・イスタンブールの「アタチュルク国際空港」で起きた自爆テロのことです。事件直後、死者が41人(7月1日に44人に変更)、負傷者が239人と発表されました。ユルドゥルム首相は、ISによる犯行の可能性を示唆しました。トルコ政府は、昨年7月からイスラム国とクルド人武装勢力(例えば「クルド解放のタカ」)に対し攻撃を続けおり、トルコは両勢力の報復テロの温床となっております。トルコはISが支配するシリアと国境を接しており、膨大な数の難民が国境を超えては流入していますが、その難民にIS戦闘員が紛れ込んでいることが示唆されています。ISは、イスラエルとの関係正常化を決めたエルドアン大統領を暴君と非難していますが、「その非難は本音なのか?」という疑問を私は呈したいと思います。が、それは後述します。
 トルコとイスラエルは、2010年のイスラエル軍によるトルコ船団の襲撃事件である『ガザ支援船襲撃事件(2010年5月、イスラエルの封鎖で人道危機に陥ったパレスチナ自治区ガザに支援物資を届けようとしたトルコの支援船団をイスラエル軍が公海上で急襲した事件。船団を率いていた「マビ・マルマラ号」に強行突入し、トルコ人活動家ら10人が殺害された。蜜月だったトルコとイスラエルの関係は一転した。イスラエルは2005年のガザ撤退後、周囲を封鎖し、人や物の出入りを制限 JIJI.COM 2016/06/27)』で関係が悪化していましたが、関係正常化となったのです。この背景には、「イスラエルが孤立を警戒したから」という事情も関係があると思われます。イランに対する執拗な攻撃が、欧米諸国から非難されていました。味方が欲しいのは目に見えています。たとえそれが、イスラム教の国であるトルコでもです。それに、トルコもイスラエルと同じように孤立を警戒していました。トルコは「ロシア軍爆撃機撃墜事件(2015年11月24日9時20分頃、トルコとシリアの国境付近で、ロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機がトルコの領空を侵犯したとして、トルコ軍のF-16戦闘機に撃墜され、シリア北部に墜落した)」にてロシアとの関係が悪化しており、ロシア産ガスをトルコ経由で欧州に運ぶパイプライン計画が暗礁に乗り上げていました。また、エジプトやシリアとの間でも関係が悪化していました。
 ロシアのプーチン大統領は29日、エルドアン大統領と電話会談し、両国関係を正常化することで合意しました。そしてプーチンは、アタチュルク国際空港の自爆テロについて哀悼の意を表明したそうです。ただしこれは表面上のことでしょう。問題は山積しています。
 トルコはシリアのスンニ派の反体制派を支援しており、もちろんアサド大統領退陣を主張していいます。その過程でアメリカが主導するISへの攻撃に参加しています。ロシアとは真逆の考え、行動なのです。しかし……です。トルコの対IS攻撃が目くらましである可能性があるのです。

トルコはISを攻撃すると見せかけ支援している

 以下に示す記事では、イスラム国:IS=The Islamic Stateではなく、ISIS=The Islamic State of Iraq and Syriaが使われているので、後者の名称で統一させていただきます。
 『IRAN JAPANESE RADIO』の「トルコのISISへの大規模な支援」と題する記事では、ドイツの国営テレビが、トルコのイスタンブールのある通りにISISの事務所が設置され、そこでISISのための資金集めや、シリアとイラクに派遣するための傭兵の勧誘が公然と行われていた事実を取り上げていました。また、トルコ国内にはISISのメンバーを訓練するための複数の拠点が存在するというのです。さらには、CNNがトルコのハタイ空港からシリアの国境近くに移送されている外国人戦闘員の様子を放映しました。これらの事実が物語るのは、トルコとシリアの国境は、外国人戦闘員に対して何ら障壁の役割を果たしていないということです。http://japanese.irib.ir/component/k2/item/52985-%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%81%AEisis%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E3%81%AA%E6%94%AF%E6%8F%B4

 「トルコのISIS支援」と題されたダニエル・パイプスの記事では、次のように記されています。
 
 
シリア人とトルコ人(推計3000人を計上)と外国人闘士(特にサウジ人だが、かなりの人数の西洋人も)が、しばしばISISに参加するためにトルコとシリアの国境を意志で越えてしまったことに、クルド人や学術専門家やシリア人反体制派は合意する。トルコ人ジャーナリストのカドリ・グルセルが「ジハード者の二方向の高速道路」と呼ぶものは、面倒な国境チェックが全くなく、時々、トルコ諜報機関の活発な援助に関わる。CNNでさえ、「トルコ経由の秘密ジハード密輸」に関するビデオを放映する。
 実はトルコ人は、容易な越境を遙かに超えるものを差し出した。ISISの資金や兵站学や訓練や武器の大半を提供したのだ。シリア国境近くのトルコ住民は、クルド系とISISの戦闘地帯へ向かい、その後、トルコの病院へISISの死傷者を退避させているトルコ救急車について語る。実際、2014年4月にハタイ州の病院で、戦闘の負傷のためにISIS司令官のアブ・ムハンマドが病院のベッドで治療を受けているのを示す、センセーショナルな写真が表面化した。

画像
画像:http://ja.danielpipes.org/article/14498

 一人のトルコ反体制派の政治家は、トルコが石油の船積みのためにISISに8億ドルを支払ってきたと推測する。別の政治家は、ISISメンバーを訓練している現役トルコ兵士達に関する情報を発表した。批評家達は、トルコ首相レジェップ・タイイップ・エルドアンが、ISISと密接な絆を持ち、資金を渡してきたヤシン・アル・カディという者と、三度会ってきたと記している。 http://ja.danielpipes.org/article/14498

 『MONEY VOICE』の記事では、トルコのエルドアン大統領の長男が経営する「BMZ」という会社が、ISISが占拠した油田の原油をトルコ国境まで運び、トルコで販売していると述べています。そして先述したトルコによる「ロシア軍爆撃機撃墜事件」は、実はある利権を守るためだったと言うのです。

画像
画像:https://twitter.com/Dilxazsofi/status/513283816434450432

 シリアとトルコの国境沿いには、彼らが「安全地帯」と呼ぶエリアが存在する。このエリアは「イスラム国」の原油をトルコに運ぶための重要な輸送路になっている。トルコ軍のF-16によって撃墜されたロシア軍機は、この「BMZ」が運営する「イスラム国」の原油輸送のタンクローリーの隊列を攻撃していた可能性が極めて高い。したがってロシア軍機の撃墜は、エルドアン大統領の利権を守るためだった可能性が否定できない状況だ。 http://www.mag2.com/p/money/5680/3

 『Alternative Media−E-wave Tokyo』が掲載した記事『ロシアのシリア空爆で明らかになった「米軍によるイスラム国支援」』では、イスラム国が米英軍からの積極的な支援(武器の供与)を受けていることが明らかだと報じています。この記事から読み取れるのは、すべてはイスラエルの意向を汲んだ政策だということです。シリアのアサド政権は反イスラエルであり、反政府勢力のイスラム国を攻撃するどころか(表面上は攻撃している)、むしろ支援しているのだと。また、それは<中東でのイスラエルに挑戦する能力のある国家をすべて壊滅し、中東を恒常的な混乱状態に置くというイスラエルの戦略を実行するためのツール 同前>であるというのです。

 国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)の正式な報告書も指摘

 
イスラエルが「イスラム国」を支援しているとの情報は、あらゆる方面からもたらされている。そのひとつは昨年末に国連が発表した報告書だ。
 この報告書には、イスラエル軍が「イスラム国」の戦闘員の救護を行っている様子が詳しく書かれている。これは、シリアとイスラエルの国境にあるゴラン高原に展開している「国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)」が国連安全保障理事会に提出した活動報告書だ。
 ちなみにゴラン高原は、もともとシリアに帰属していたが、1967年の第3次中東戦争でイスラエルの占領地となった。このためシリア側の国境沿いには、シリア軍が展開している。国連は1974年以来、両軍を引き離し、衝突を回避するための「国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)」を駐留させている。この報告書はこの組織の活動報告である。
 この報告書によると、過去18カ月間、イスラエル軍とシリアの反政府武装勢力との間に交流が見られ、反政府武装勢力には「イスラム国」も含まれるとしている。
 さらにイスラエル軍は、ゴラン高原のシリア国境に300棟のテント村を建て、シリア内戦から逃れてきたシリアの民間人を収容し、ゴラン病院に送って治療している。
 しかし治療の対象は、シリアの民間人には限られていないと報告書にはある。「イスラム国」の戦闘員も治療対象に含まれており、イスラエル軍の管理する医療施設で治療を受けているという。
 これは、国連の正式な組織の「国連兵力引き離し監視軍」が、国連安全保障理事会に提出した正式な報告書に記載されている内容である。ソースが不明の情報ではない。イスラエル軍が「イスラム国」を支援している事実は、もはや公然と公表されているのだ。『MONEY VOICE』「ロシア機撃墜にも関与?イスラム国を支援するイスラエルの狙い=高島康司」http://www.mag2.com/p/money/6603/5

 
 イスラム国が勢力を拡大した背景には、独自の収入源を持ったことがあります。「ジュネーブ安全保障政策センター」のクリスティーナ・リャンのリポート「IS株式会社」では、<ISの「領土」内では、1日3万4000〜4万バレルの原油を産出し、闇市場を通じて1日平均150万ドル(約1億7000万円)の収益をもたらす。税金も課す。所得税は10%で、付加価値税は2%だ。ビジネスには10〜15%の事業収入税がある。武器や麻薬の密輸にも税をかけている。「領土」を離れる人の出国税は最大1000ドルだ。イラクの小麦の耕作地の4割以上をISが押さえている。文化財の密売も収入源だ。人質や人身売買も組織的に行われ、専門の部署もある。人質は2014年、4500万ドルをISにもたらした。ISはこのようにして、「20億ドルの資産を持つ史上最も豊かなテロ組織」になった>(The Asahi Shimbun GLOBE April 2016 No.180 [テロが「戦争を変える」]5面)と報告されています。果たして、この報告書にある「独自の収入源」は本当に「独自」なのでしょうか?

イスラム国リーダー「米国から財政支援を受けた」 
 イスラム国のリーダーの一人が、米国から資金援助を受けたと語っている。パキスタン紙「トリビューン」をもとにロシア24が伝えた。
 ラホールで収監されているユザフ・アル・サラフィ氏は22日、尋問の過程で、パキスタン部隊の設置、またシリアにおける軍事行動用に若者を選別することについて、米国から財政支援を受けた、と述べた。新兵には各600ドルが支払われたという。「米国は自分の利益のためにイスラム国を支援したという印象を払拭するためにこそシリアでなくイラクでイスラム国攻撃を始めたのだ」。http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/news/2015_01_29/282535273/

 ここまで来て皆さんは「(話が真実だとして)なぜISISをそこまで支援する必要があるの?目的は何の?」という疑問が沸くと思います。だからこそ勉強が必要です。上記したサイトには『「イスラム国」は目的でなく手段』と題された記事があります。このタイトルは私の言いたいことを簡単明瞭に表しています。まさにイスラム国はある目的の「手段」なのではないかと。この記事の中の重要なワードは「新中東地図」です。これを次回の記事の冒頭で説明しながら、ノンフィクションという物語を続けていきたいと思います。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
とてもわかりやすく、読みやすい内容です。
目的ではなく『手段』、これにつきますね。次回の記事、期待してます。
LUNA
2016/07/05 07:35
LUNA さんお久しぶりです。長期に渡り何のコメントもせず止めてしまいすいませんでした。これからは、以前のように早い更新は難しいかもしれませんが、精一杯の気持ちで記事を書くことに変わりはないので、どうぞお付き合い願えればと思います。実は休止中に、以前書いた記事に寄せていただいたコメントのどれかが、プライバシーの侵害で訴えられ、ブログが公開出来なくなっていました。管理会社から(その記事、コメントすべてを削除すれば再開ok )メールを受けていたのですが、皆さん周知の通り、ブログというものから距離を置いたので、そのことに気付きませんでした。結果、時間が経ちすぎ、「ブログ再開条件はすべての記事の削除」になってしまいまして、それを受け入れました。どうぞこれからもよろしくお願いします。
ガンジーの精神(管理人)
2016/07/08 08:24
言葉足らずでした。プライバシーの侵害で訴えられたコメントはLUNA さんじゃないですよ。
ガンジーの精神(管理人)
2016/07/08 08:30
もぅ感激、感激、感激です‼︎‼︎
ガンジー様がレスを(T_T) 嬉しい、本当に嬉しい‼︎
無知な私にとっては一筋の光です。物事を多角的、客観的に考察できてすごいです、私には一生ムリかも。もちろんゆとりのある時に更新で良いですよ、無理なくガンジー様のご都合しだいですよ。心から応援しております☆彡
LUNA
2016/07/08 10:03
暑くなりましたね( ̄^ ̄)ゞ皆さん気をつけて下さいね。LUNAさん、相変わらずで(笑)今日は選挙。父性の疑いあり過ぎですが投票へは行って下さい、マジックペン持参で投票用紙は折る方向で。
assassins
2016/07/10 10:25

コメントする help

ニックネーム
本 文
イスラム国が「敵であり仲間でもある」理由 憎しみの連鎖/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる